ゴキブリ3億年
もう10年ほど前の本であるが、分かりやすく、すらすらと読めた。 ほとんどは森の住人なのに、ほんの一部が害虫とみなされ、数々の中傷を受けるゴキブリ。この本を読んで親近感がわいた...ということはない。しかし3億年以上の歴史の後半わずか2万年の間に人間の家屋内への侵入、定着を成し遂げたたくましさは驚異である。人間が殺虫剤などでゴキブリの「小進化」を助長し、蜿蜒といたちごっこを続けているとの部分は、人間が高度な知恵を持つがゆえの業の深さを感じさせる。 虫嫌いな人は、ゴキブリとの微妙な共存関係が未来永劫続くことを覚悟することだろう。 チョウやカブトムシなどのように人気者でもないのに、このような一般書がでるのは、ゴキブリがいかに我々に身近な存在であるかを物語る。自然と隔絶された生活を送る私たちにとって、ある意味、もっとも近くにある自然かも知れない。
講談社
ゴキブリ大全 へんな虫はすごい虫―もう“虫けら”とは呼ばせない! (ブルーバックス)
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